忠実屋
日曜日のお買い物といえば忠実屋かヨーカ堂でした。家族揃うと忠実屋、母と二人ならヨーカ堂だったろうか。わたしは忠実屋が好きでした。
ダックのお好み焼きにたこ焼き、メロンのアイス、ショーケースの中にはファミコンソフトが並んでいます。愉しみがたくさん。
「れいじ、お父さんちょっと本屋行って来るから、お母さん来るまでここに座ってなさい」
両親を待つ間、わたしは忠実屋の天井を眺めていました。クリスタルシャンデリアのような大きな照明が、赤、緑、青、黄色、水色、紫、白。次々と奇妙な間をあけて色が変わるんです。
「お母さん、クリスマスいらないから、ダブルドラゴン買って。お兄ちゃんと一緒にできるんだよ。二人同時プレーなんだよ?」
「だめ! あんたこないだの誕生日にもファミコン買ったばっかでしょ。それよりお腹は? ポップコーン食べる? 」
わたしはアメリカのことを考えます。
アメリカの人はみんなポップコーンを食べるのだろうか。
カウボーイハットにオーバーオール!チャップリン髭も整えて、さあ準備オーケー!
「パップコーン! パップコーン! アメリカ生まれのポップコーンだよ! 」
あの頃のアメリカはまだ遠く、憧れはアメリカだったのでしょうか。
自動販売機でポップコーンを買って、それを食べながらもう一度天井を眺めました。父親が本屋から戻るまで。
赤、緑、青、黄色、水色、紫、白。次々と奇妙な間をあけて色が変わるんです。
わたしのアメリカは焼けたバターの香りがしました。
読んでくれてありがとう。明日も元気で!
僕も多分また来ます。