80年代うまれ(かながわ県)

80年代うまれの思い出し日記

忠実屋

 日曜日のお買い物といえば忠実屋かヨーカ堂でした。家族揃うと忠実屋、母と二人ならヨーカ堂だったろうか。わたしは忠実屋が好きでした。

 ダックのお好み焼きにたこ焼き、メロンのアイス、ショーケースの中にはファミコンソフトが並んでいます。愉しみがたくさん。

「れいじ、お父さんちょっと本屋行って来るから、お母さん来るまでここに座ってなさい」

 両親を待つ間、わたしは忠実屋の天井を眺めていました。クリスタルシャンデリアのような大きな照明が、赤、緑、青、黄色、水色、紫、白。次々と奇妙な間をあけて色が変わるんです。

「お母さん、クリスマスいらないから、ダブルドラゴン買って。お兄ちゃんと一緒にできるんだよ。二人同時プレーなんだよ?」

「だめ! あんたこないだの誕生日にもファミコン買ったばっかでしょ。それよりお腹は? ポップコーン食べる? 」

 わたしはアメリカのことを考えます。

 アメリカの人はみんなポップコーンを食べるのだろうか。

 カウボーイハットにオーバーオール!チャップリン髭も整えて、さあ準備オーケー!

パップコーンパップコーン!  アメリカ生まれのポップコーンだよ! 」

 

あの頃のアメリカはまだ遠く、憧れはアメリカだったのでしょうか。

 

 自動販売機でポップコーンを買って、それを食べながらもう一度天井を眺めました。父親が本屋から戻るまで。

 赤、緑、青、黄色、水色、紫、白。次々と奇妙な間をあけて色が変わるんです。

 

 わたしのアメリカは焼けたバターの香りがしました。

 

読んでくれてありがとう。明日も元気で!

僕も多分また来ます。